歩き遍路の男性がプロジェクトの事務所訪問

千葉の大学生、高澤侑二朗さん(23歳)が4月12日、遍路を終えてヘンロ小屋プロジェクトの事務所(大阪市)を訪れました。「お世話になったヘンロ小屋に携わる人たちに直接、感謝の気持ち伝えたい」と、大きなリュックを背負って。
高澤さんは2月26日に出発し、4月10日結願、12日は高野山に参拝し、その帰りに立ち寄ったそうです。
ヘンロ小屋で休み眠り、ほとんど野宿で43日間歩き通した高澤さんは、「金剛杖は10センチ短くなりました」「お遍路で11キロやせました」と、日焼けした顔をほころばせました。
遍路を志したきっかけは22歳の時、自転車で日本一周をしていた際に巻き込まれた交通事故。搬送された富山の病院で、家族が呼ばれるほどの手術を乗り越え入院生活を送る中で、いま生かされている意味を考え始めました。その後、大学の長い春休みに入って「生かされて意味をお遍路で見つけられるのでは」と思い立って出発しました。
コンビニも自販機もない道を歩きながら、まず「ありとあらゆることが、当たり前ではないんだと気づきました」。心に残る縁や出会いもありました。ヘンロ小屋に置かれているノートにはたくさんのお遍路さんがメッセージをつづっていますが、ノートを読んだ後に本人に会った、という偶然がたびたびあり、お大師さまの導きを感じたといいます。
生きる意味を考える出会いはお遍路の前にもありました。自転車で日本一周の際に気仙沼で出会った、「3.11」東日本大震災の鎮魂と追悼の活動をしている人たちです。3月11日をはじめ毎月11日に「ともしびプロジェクト」として、被災地の海をイメージした青いキャンドルをともす活動を、「1000年たっても東日本大震災のことを忘れられないために、「1000年先の3011年まであかりをともしていきたい」と発信し続けています。
1000年余の歴史を持つ四国遍路を歩き、1000年先まで鎮魂と追悼を伝えていこうとする人達と出会って、「僕たちは、すごい長い時間のリレーのバトンをつないでいくんだと感じました、今回、歩いてみたからこそわかることでした」と{|澤さん。
帰り際はヘンロ小屋プロジェクトの代表理事、歌一洋と握手を交わし、「また来ます」と再会を約束して、笑顔で事務所を後にしました。


↑事務所を訪問した高澤さん(左)と歌

 

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