ヘンロ小屋45号「空海庵・切幡」竣工式



 ヘンロ小屋45号「空海庵・切幡」が徳島県阿波市市場町大野島に完成し11月24日、竣工式がありました。
 場所は10番切幡寺から下りてきて、吉野川に向かう途中です。小屋は大塚唯士さんが土地を提供し、鍛谷幸一さん、坂本登さん、森裕雅さんら大勢の人が実行委員会方式で建設しました。大塚さんが「天気の良い日は鳴門まで見えた」と言う立地を活かし、小屋は2階建てです。見晴らしも良く、逆に遠くからも見えます。
 木は木曽ヒノキなどを使用し、強固な構造になっています。切幡寺には、機(はた)織り観音の像があります。この地で修法をした弘法大師が結願の7日目、機を織る娘にほころびた僧衣を繕うために布切れを所望し、乙女は織り掛けの布を差し出しました。大師が「何か望みはないか」と尋ねると、「父は薬子の乱に関係して島流し。母は身ごもっているいますが、男の子が生まれればその子も咎(とが)を受けます。女の子が生まれるようにと清水の観音に祈願して生まれたのが私です。私も仏門に入って精進したい」と答えました。そこで大師は乙女の灌頂をし、乙女は即身成仏して千手観音に変身しました。そんな言い伝えに基づくものです。

↑小屋のテープカット。小屋には白い布をモチーフにしたデザインが施されている



 小屋には、白い布をイメージした白い鉄板の装飾が施されました。設計した歌一洋さんが機織り観音の逸話をモチーフにして考えたものです。
 竣工式は神事とともに、遍路の読経も組み込まれ、約250人が参加して盛大に行われました。遍路の菊人形3体が飾られ、阿波踊りや江戸時代から続く三味線餅つきで、完成を祝いました。

↑阿波踊りで完成を祝福

 また、実のなる木として、ブルーベリー、キンカン、スダチの植樹もありました。式の最中に、歩き遍路が10人ほど通りかかりましたが、そのうちの1人はアメリカ人で、日本の伝統的は行事を興味深く眺めていました。
↑伝統の三味線餅つきも


 
戻る